土葬や火葬などによって墓所が作られ、
人々は先祖の霊をなぐさめ供養するために、
こうした墓所に参拝するようになりましたが、
墓所というのは人間の社会生活の邪魔にならない場所などに
設けられていますから、日常的に墓参りに行くことはなかなか難しいことです。
そこで日常的に先祖に手を合わせることができるよう、
家の中で安直に供養ができるように、
という理由で仏壇が編み出されたのです。
近頃は世の中が平和になり、経済的な余裕が出てきたせいか、
墓を建てる人が増えてきましたが、
家庭に仏壇も置いていないのに、
何処かに良い墓地はないかと探す人が大勢います。
しかし、土葬が主であった時代であれば、
もちろん墓地を求めるのが何よりも先決でしょうが、
火葬で遺骨を埋葬するという現代の墓を考えれば、
まずそれぞれの家庭に仏壇を用意すべきだと思います。
仏壇には位牌が安置されます。
位牌とは、墓と同様、先祖の霊の宿るものですから、
位牌を裸のままでいつまでも放っておくことは許されません。
墓は雨も降り、風も吹きます。
屋根のある温かい家庭の仏壇の方が、
霊魂にとって安らげる場所のはずです。
火葬が終わったなら、直ちに位牌を安らぎある場所、
即ち仏壇に安置しなければいけません。