墓じまい

長かった父の介護が終わったのは一昨年の6月でした。

働き者で子煩悩で優しかった父の最期はただ生きているだけの状態が数ヶ月続き、

誤嚥性肺炎のために水すら飲めずに亡くなりました。

人生の幕引きに何度も何度もカーテンコールを繰り返し、

その都度振り回されてきた私にはあっけない終わり方でした。

その2年前に母は急性クモ膜下出血で他界していました。

母が疲れ切った私をみかねて父を迎えに来てくれたのかもしれません。

 

葬儀の後、東京に住む一人息子が東京で一緒に住もうと言い出してくれました。

以前から、いつか大阪を離れられる状態になったら東京に出てきてほしいと言ってくれていたのですが

長年住み慣れた家を出ることは想定外で、出戻りの長女としては仏壇もお墓もあるので無理だと諦めていました。

信心深い方ではありませんが、毎月2回は浄土真宗の菩提寺から

お経を上げにお寺さんに来ていただいていました。

父の介護をしながら近所の福祉施設で働いていたので、

仕事を休めないときは妹が隣の市から来てくれていました。

毎日仏壇のお水を替え、お供え物をして、月に2回お参りをしてもらい、

お彼岸と盆暮れには郊外の霊園にあるお墓にお参りするだけですが

それでも長女の責任だと思っていました。

 

二人姉妹で妹は他家の長男に嫁いでいましたので本当に私しかいなかったのです。

あまりにも熱心に口説いてくれる息子にNOと言い続けるのは、母親としてどうなんだろうかと思い始め、

本当にあり得ないありがたい話に心が動きました。

映像の仕事をしている息子は東京で職を得、地元の女性と結婚して孫もいます。

母さんが大阪のこの家でひとりで年をとっていくのは寂しい、

10年後にはもう出てくる元気は残っていないかもしれないけど

50代半ばの今ならまだ新しい生活になじめるんじゃないかと言われて、

3日悩んだ挙げ句にとうとう行くことに決めました。

妹も賛成してくれたのですが、仕事の区切りや家の売却、

なによりも仏壇やお墓をどうするかを考えなくてはいけないので

翌年の3月末まで大阪に残ることにしました。

 

同居は嫁への気兼ねもあり、スープの冷めない距離にマンションを借りることにしたので、

大きな仏壇は持っていけません。

これはおしょうね抜きをしていただいて、転居前に片付けの業者さんに撤去していただきました。

撤去は15000円程度でした。

仏壇屋さんに依頼するとこの倍以上かかっていたと思います。

 

お墓は妹もお参りに時々は行ってくれてたので、まだ残しておこうと思っていたのですが

お姉ちゃんが大阪を離れる時に処分してほしいと言われてしまいました。

墓参りを嫌がっているわけじゃないけど、どうせいつかはしまわないと無縁さんになってしまうお墓やから、

お姉ちゃんがいてるときにしまってくれた方がええやんということでした。

妹にとっては嫁ぎ先のお墓もあるし、息子たちの世代に墓じまいを引き継ぎたくないという思いのようでした。

大阪を出てしまう私には反論のしようもなく、このドライな割り切り方もかえっていいのかもしれないと思いました。

 

幸い、大阪には一心寺という「骨仏さん」で有名なお寺があり、

母も祖父母も分骨して、一部の骨は一心寺さんの仏像に入っていました。

お墓の無い家はこうして一心寺さんに納骨するのが当たり前でした。

なので墓じまいの時に埋められていた骨は乾かしてから、

白い布で包み一心寺さんに納めさせていただきました。

1体につき1万円かかりました。

墓じまい自体もお布施も入れて20万円程度でしたが、公営の霊園の敷金が15万円ほど戻ってきました。

細かな手続きは色々ありましたが、相続、墓じまい、家の売却と

一連の色々な手続きの流れの勢いでなんとかできました。

 

東京に来てからは、家具調のおしゃれな仏壇を用意し、

実家で祀っていた仏像や過去帳をそのまま配置し、両親の写真も飾っています。

孫たちも時折、小さな手をあわせてくれています。

東京ではお寺さんにお参りしていただくことはなく、法事は大阪の菩提寺を借りてさせていただいています。

お参りは今後も大阪に帰ったら一心寺さんに行くことになります。

私もいずれそこに入りたいと思っています。

 

自らの手で墓じまいをし、両親の建てた家を売り、本当に複雑な思いはありましたが、

新しい人生を歩くことにためらいはありませんでした。

自らを必要としてくれる場所があるなら、その道を選ぶことにご先祖様も応援してくださるような気もしました。

ご先祖さまへの感謝、供養は大事なことですが形を変え、場所を変えても

自分の根本がしっかりしていれば大丈夫だと思っています。

感謝の気持ちは孫にもいずれ伝えていきたいです。

ご家庭で先祖供養を

私は現在40代ですが、現在同年代の方でも自宅にお仏壇を置いている人は本当にまれになりました。

私の世代は幼いころは祖父や祖母と同居している家族が多く、遊びに行けばどの家にもその当時はお仏壇があったように思います。

またお盆、お彼岸と言うと我が家にもお坊さんがいらっしゃってお仏壇を拝んでくれました。

そんな風景はその当時はある意味当たり前のように感じていましたが今の時代は違ってきているようです。

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